kamikawork カミカワーク

カミカワークプロデューサーダイアリー

「デカフェの美味しさを広めていきたい」フードプロデューサー・淀さんにインタビュー!

2022.7.4 UP

こんにちは!カミカワークプロデューサーのインターンシップで上川町にきている新谷有希です。
各カミカワークプロデューサーにインタビューさせていただく企画の第4弾は、フードプロデューサーとして活動されている淀大祐(よどだいすけ)さんのお話をお届けします!
現在はフードプロデューサーとして活動しつつ、2022年秋に上川町内でオープン予定のカフェ「キヌバリコーヒー」の開店準備などにも携わっている淀さんにお話を伺いつつ、ご自身が発信したいメッセージも伺いました!

フードプロデューサーの活動とは?

ーフードプロデューサーの方は主に上川町東雲地区にある未来型公民館「大雪かみかわ ヌクモ」のカフェスペースで活動をしています。淀さんは現在の活動内容を、将来を見据えながら活動できるメリットも提示しつつ紹介してくださいました。

淀さん:カフェでどんなメニューを作るかは、フードプロデューサーとして活動される方の希望によって変わります。僕はいまコーヒーとベーグルを作っています。
協力隊卒業後に自分でお店を開きたいと思う方にとっては、自分が将来やりたいメニューをヌクモで試せるということがフードプロデューサーのいい点だと思います。
それがヌクモの売り上げにも繋がるので、ヌクモやフードプロデューサーの仕事になっていると感じます。

コーヒーでいうとブラジル、エチオピア、インドネシアの3種類の豆を合わせて「ヌクモブレンド」というコーヒーを作っています。
僕が入ってからは、新たに「デカフェ」というカフェインを90%以上除去した豆も扱っています。
僕や現在フードプロデューサーとして活動されている絹張さんが作るヌクモのコーヒーの位置づけとして、協力隊卒業後を見据えてキヌバリコーヒーで出す豆の種類を考えたり、焙煎を試す場だと思っています。
「この国のこの農園の豆をキヌバリコーヒーで焙煎するならこんな感じかな」と思って焙煎した上で自分たちでも味を確かめて、お客さまからの反応もいただく形でやっています。

 

「すごく楽しそう、行きたいな」と思い上川へ。

ー淀さんは大学時代に所属していたサイクリング部での合宿で小樽から函館まで5日間かけて走った経験や、47都道府県を自転車で旅をした中で次第に北海道に対して興味を持っていきました。
大阪に住む時期に移住先を探していた当時、札幌のゲストハウスに宿泊した際に現フードプロデューサーの絹張さんと出会ったことが最初のきっかけとなり、上川町に移住することになったエピソードをお話ししてくださいました。

淀さん:絹張さんも焙煎をやっていて、なおかつ僕と同い歳ということもあり仲良くなりました。
その後も絹張さんが運営していたEarth friends campという団体(現在は法人化し、上川町内の交流スペース&コワーキングスペース「PORTO」などを運営)の活動の一環で音楽フェスの野外ステージの設営などを手伝う機会があり、何度か札幌に行ってお会いしていたんですね。
その中で2019年の4月から上川町の協力隊として移住するという話を聞きました。「大祐さんもおいでよ」と言ってくれて僕自身もすごく行きたかったのですが、その時は上川町へ行ける状況ではなかったのです。
そのあと絹張さんや層雲峡ホステルの志水陽平さんの活動を見ていると「なんで僕はそっちにいないのだろう。すごく楽しそう。行きたいな。」と思うようになりました。
2019年の9月か10月ぐらいに上川町へ行ける状況が整ったので、まずは一度上川町に行こうと思っていきました。
町の様子や規模感をみて、何だか「ちょうどいいな」と思ったので、協力隊の面接を受け、2019年の12月に上川町へ引っ越しました。

 

コーヒーやベーグルを作るこだわりや面白さとは?

ー淀さんがコーヒーを焙煎してお客さまに提供するにあたってこだわっていることは「抽出時の温度」とのこと。その理由を教えてくださいました。

淀さん:キヌバリコーヒーでコーヒーのイベントに出たときに、抽出する前にサーバーを温める作業をしている方や紙コップを温めている他の店舗さんを見て「それいいな」と思い、ヌクモでもやってみようと思いました。
自分でコーヒーを淹れて飲んでるときに「コーヒーの温度が下がっていくにつれてコーヒーの味ってどんどん変化していくな」と思ったんですよね。より苦味が強くなったり、甘味が出たり、酸味が出たりするので本当に面白いなと思いました。

最初から低い温度でコーヒーを提供すると温度変化を楽しむ幅が減ってしまうので、なるべく高めに、抽出した温度と同じくらいの温度で器やカップに入れると、お客さまも味の幅を楽しんでもらえるかなということを、こだわってやっています。

ー淀さんがコーヒーの焙煎を始めた時期はおよそ8年前。奈良県のゲストハウスでお仕事をされていたときでした。ゲストハウスを卒業後も趣味でコーヒーの焙煎やパン作りを続けていたそうです。
しかし、最初にベーグル作りに挑戦したのは、上川町に来てフードプロデューサーとして活動されているときだったと語ってくださいました。

淀さん:上川町に来てできるものは何か考えたとき、パンは作れるなと思いました。ただ設備の関係などから難しいところもあって少し悩んでいたとき、同じフードプロデューサーの小山内さんから「ベーグルを作ってみて!」と言われました。
ベーグルサンドだったら材料もある程度保存できるんじゃないかと思って勧めてくれたのだと思います。
ベーグルは作ったことがなかったので、試しにやってみようと思い作ってみたら、なんだか楽しいと感じました。
手探りではありながらも上手くできましたし、ベーグルって焼く前に茹でる作業があるんですが、その作業が面白くていまも作り続けています。

 

趣味を生かして特別な活動も。

ー淀さんはフードプロデューサーとして主に活動されていますが、大学の部活や趣味の経験を生かして独自の活動もされていたそうです!

淀さん:いまはヌクモの活動がメインになってきています。ただ、少し前の話をするとカミカワークプロデューサーになると決まったときに、自転車のことはやりたいなと思っていました。
ずっと自転車に乗ってきたので、その経験を生かしたいと思っていました。

その中で上川高校からお声がけいただいて、生涯スポーツの授業を担当しました。毎年5月から8月・9月ぐらいまでの期間は自転車を授業で取り入れることが長年続いていたようです。
自転車の授業で先導役をされていた先生が2020年3月をもって上川高校から異動されるとのことで、先導役がいないという状況になったとき僕に「先導役として授業の担当をしてくれませんか?」とお声がけいただいたので、2020年と2021年の生涯スポーツの自転車の授業を、僕が担当させていただきました。

 

淀さんが発信したい「想い」

ー協力隊卒業後はキヌバリコーヒーで焙煎士として働く淀さん。その中でもコーヒーの美味しさを多くの方に知って欲しいという思いを伺いました。

淀さん:最近、ヌクモでコロンビアのデカフェの提供をはじめたのですが、それをキヌバリコーヒーでも提供できたらいいなと思っています。
デカフェも技術が進歩して美味しく飲めることを、コーヒー好きな方により知ってほしいです。
ヌクモはお子様連れや妊娠中・授乳中の方も多く来られます。そういった方でコーヒーが好きな方にもコーヒーを飲んでいただけたらと思い、デカフェの提供を始めました。
一方、コーヒーが好きな方でも大量に飲むとカフェインで少ししんどくなってしまう方にもデカフェを飲んでほしいという思いもあります。
「デカフェでもこんなに美味しいんですよ」ということを、今後キヌバリコーヒーの一員として働く中でも広めていきたいです。
選択肢を広げてもらえると嬉しいですね。いわゆる普通のコーヒーもデカフェも美味しいと思ってもらって、その日の体調によって選んでもらえたらなと思っています。

ー最後に、淀さんからフードプロデューサーやカミカワークプロデューサーの活動に興味がある方に向けて、メッセージをいただきました。

淀さん:いま、ヌクモで働くフードプロデューサーはほぼ僕1人の状態です。
ベーグルを試作する時間がなかったり、カフェの運営が回らない状況もあるので、コミュニティプロデューサーなどほかの業務をしている方にも手伝ってもらうこともあります。
なので、フードプロデューサーの方が来てくれるとすごいありがたいと思っています。
僕も趣味でコーヒーの焙煎やパン作りをやっていたので、「既にお店やっています」とか「自信持ってやっています」という状態ではありませんでした。
そんな人でも、フードプロデューサーとしてきても大丈夫!ということを伝えたいです。
協力隊を卒業されて町内でホットドック屋『マチガイネッエゾベース』を開業された小山内夫婦も、喫茶店をやりたい思いがあった反面、そこまで料理に自信がないという状態だったと思います。
ただ、いまは上川町で良い巡り合わせがあってお店を開く流れができ始めているので、全然自信ない人も来て!という想いです。少しでも食に興味があるのであれば、上川町に来てみてほしいです。
もちろん、既に自信をもって提供できるものがあったり、新天地でお店を開きたい方や、いまはまだ類似したお店がない場所で新たにお店を始めてみたいという方が来てくれることもすごく嬉しいです。
こういう話をすると「コーヒーの焙煎をやっている人が来るのはどうですか?」みたいな声を勝手に想像するのですが、そういった方が来てくださることもうれしいです。
似通ったお店がたくさんあると競合する形になるかもしれませんが、いろんな味を出すコーヒー屋さんができて、コーヒーによって上川町が盛り上がるならそれはいいと思います。

取材後記

フードプロデューサーとしてコーヒーやベーグルを作っている反面、自身の得意なこと・好きなことを生かして幅広く活動をできることもカミカワークプロデューサーの魅力であると実感します!
フードプロデューサーになった方が比較的自由にヌクモでカフェのメニューを作ることもできますが、自転車とコーヒーという異なる分野を掛け合わせた活動をされていたことに、私は少し衝撃を受けました。
新しい働き方というとリモートワークやフリーランスといった単語をつい連想してしまいますが、異なる仕事を「掛け合わせること」も新しい働き方の一つになるのではないかと思いました。