カミカワークプロデューサーダイアリー
「まち映画」の撮影に挑戦中!クリエイティブプロデューサー・カイルさんから「クリエイティブ」の本質を伺う。
2022.7.8 UP
こんにちは!カミカワークプロデューサーのインターンシップで上川町にきている新谷有希です。
カミカワークプロデューサーのインタビュー企画第5回目は、クリエイティブプロデューサーとして活動されているカイルさんのお話です。カイルさんは台湾出身で、日本での在住経験は約7年。
現在は動画撮影や編集作業を中心に活動されているとのことです。
どのような作品を撮影しているのかだけではなく、クリエイティブの本質に迫るお話や上川町の印象など、フードプロデューサーの淀さんも交えてさまざまなお話を伺いました!
現在のカイルさんの活動や撮影したい作品とは?
ーカイルさんは2021年4月から上川町に移住し、クリエイティブプロデューサーとして活動を開始しました。撮影内容は自分自身が撮りたい作品から、まちから依頼される作品まで多岐にわたるといいます。
カイルさん:去年からいろいろな事業者さんの動画を撮りました。
例えばラーメン屋さん。製麺工場やお店などいろいろな場所を撮りました。もちろん依頼されて撮影することもOKですが、今年はコンテンツを作りたいです。
コンテンツを作る理由は、例えば淀くんが持っている自分のこだわりとか、ブランドの軸のようなものを表現したいからです。
素早く撮るのではなく、プランを作ってコンテンツや企画を練った上で丁寧に撮影したいです。
今年のメインは、まち映画をやりたいです。その映画の登場人物はほとんどまち中の人です。
ーまち映画とはどのような映画なのか。カイルさんは登場人物にスポットを当てた作品だと教えて下さいました。
カイルさん:上川町での山岳の撮影は黒岳がメインですね。訪れた外国人観光客に対して「どんな印象ですか?」と聞くストーリーです。作品に人が入ったらその作品は「ストーリー」になります。
第2弾はインタビュー動画と、1日密着のような動画を撮りたいです。上川町の町民が9人いても、その町民は最初に生まれてから現在まで同じような生活してる人ではないです。移住した人もいます。そして、皆さんの職業は全然違いますからね。
10分から20分ほどの長さかもしれませんが、映画のような作品を作りたいです。インタビューは、白い背景紙を用意してから撮影してみたいです。
私が最近考えていることは、皆さんが普段考えなかったり、あまり答えられないような問題を1つ考えて聞きたいということです。
例えば「上川町の良くないところ」という本音。皆さんが上川町に住む中で、きっと少しは良くないところもあるじゃないですか。
せっかく撮影するのであれば、上川町のいいところも改善してほしいところもちゃんと伝えないと逆効果になってしまいます。この点も企画からしっかり考えないといけないです。生活に対する考え方とかを、映像から表現できるようにしたいですね。
上川町は少し上品な特徴がある
ーカイルさんが「まち映画」に挑戦したい気持ちは上川町に移住する前からあったといいます。
カイルさん:ずっと東京で仕事をしていて、自然があるところへ行きたいなと思っていました。
沖縄や北海道ですね。沖縄は行ったことがあるけれど、北海道はありませんでした。
レストランやホテルなどの事業者さんのPR動画を作るよりも、別のコンテンツをやりたい、挑戦したいときにまちの映画を撮りたいなと思っていました。
ーカイルさんがカミカワークプロデューサーの募集を知ったきっかけは、Facebookの広告でした。
カイルさん:「カミカワーク…動画…私これできるな」と思って、冬の上川町に見学へ行きました。もし雪が降っていない時期(5〜6月)に訪れていたら興味をもたなかったかもしれません。
「大雪 森のガーデン」に行ったときはすごく感動しましたね。この場所で1年くらい動画を作りたいという気持ちになったので、移住を決めました。
真っ白な世界が好きなんです。上川町は雪があったらとても綺麗。
美瑛や富良野も綺麗なのですが、上川町は少し上品な特徴があります。
クリエイティブとは「発想」すること
ーカイルさんは動画撮影の仕事を始めて、もうすぐ10年目を迎えようとしています。仕事として初めて撮った動画は日本に来てからとのこと。
経験を積んできたカイルさんから「動画撮影」や「クリエイティブ」に対する考えを伺うことができました。
カイルさん:クリエイティブとは、発想するということ。企画力ですね。撮影ができるかできないといったスキルの問題ではないのです。
最初はお父さんや友達のカメラを借りて、ただ遊んで撮っていました。フィルムカメラもあまり分からないので、動画の編集も分からなかったです。
初めに遊んで作った動画は「奥さんと横にいる。」いま見たら驚くほどにカメラの動きがブレブレで、明るさもとても眩しくて見えない動画です…。
動画はやはり経験ですね。興味を持っていないと絶対に撮影できないです。たくさん練習しないと100%の力で撮影ができず、諦めてしまいます。
なぜかというと、最初は頭の中で考えてから絵コンテを描いて、それから撮影、編集するからです。私は今まで300回以上やってきて、経験が大切だなと思っています。
ミッションは、まちの魅力を伝えること
ーカイルさんが今後挑戦してみたいこと、やりたいことを伺いました。
カイルさん:第1優先はまちの魅力を伝えたいです。これは私が上川町のためにやりたいこと、ミッションですね。別のことをやったら、少し道を間違えていると思います。
まちの魅力を伝えるには記事制作や、動画撮影もいいと思います。お店をやって商品を出すことはもちろんです。
ですが、動画は少し違いますね。動画は見ている映像が綺麗で、かつ知らないストーリーがたくさん入っていたら、もっと見ているものに興味を持てるじゃないですか。
例えば、お米作りの動画最初の田植えから最後の稲刈りまで作っている様子を1本の動画にしてみて、「米作りのこだわりはなんでしょう?」「使っている水は雪山の水ですか?」などと聞いたりすることですね
「地域おこし」にもさまざまな過程や方法がある
ー最後に「地域おこし」にもさまざまな方法や過程があることをフードプロデューサーの淀さん、カイルさん、私(新谷)の3人で考えました。
淀さん:カイルさんがやっていることは、既に上川町にあるけれどもまだ気づかれてないものを動画にして「こんなものあるよ」と見せること。僕は上川町にないものを作ってる感覚だから...んー なんて言ったらいいんだろう…。
新谷:カイルさんはまちに付加価値を生み出す、淀さんは0から1を生み出すという感覚に近いですか…?
淀さん:0から1を作るという表現に当てはめた言い方をすると、僕の場合は上川町であまり知られてないベーグルを作っていることなのかなと思います。
カイルさんがやってることは、既に上川町にあるもので、上川町の人も、上川町外に住む北海道の人も、本州の人も知らないようなものを「こんな素敵なものが上川町にはあるんだよ」と見せること。
地域おこしの形が少し違うのかもしれないですね。町内に既にあるものを知ってもらうという形は、地域おこしとしてわかりやすい形だと思います。
カイルさんは、上川町の中にすでにあるものを動画という形で表に出している。僕がいまやってることは上川町にはなかったものを作っているので、地域おこしという表現に当てはまりにくいのかもしれないです。
新谷:それも結果としては地域おこしになるとは思います。きっと、過程の違いだと思うんですよね。
淀さん:フードの部門でわかりやすく地域おこしをしているように見せるなら、上川町に来る前からできるもの…例えば既にパンやケーキを販売している人、もしくは販売できるぐらいの技術を持っている人が、上川町にフードプロデューサーとしてきて、その技術を使って上川町の農作物に脚光浴びせられると地域おこしとしてわかりやすい形になるのかなと思います。
カイルさん:たくさんの道があるということは皆さんの選択肢。きっと最後に合流して、ゴールは同じになりますね。
取材後記
上川町には層雲峡温泉やラーメン、大雪山系など「有名なモノ」がたくさんあります。その中でもカイルさんが今後撮影したいものは「上川町に住む人々」なのだろうとお話を聞いて実感しました。
まちの魅力は「モノ」だけではなく「人」にもあり、「人」からさまざまな「ストーリー」が生まれる。こういった「ストーリー」もまちの魅力の一つに当てはまるのではないかと思います。
また、地域おこしの方法にもさまざまな方法や過程があることも考えました。
人それぞれ、さまざまな方法ややり方がありながらも、目指していく方向性が共通していることが大切なのだろうと思いました。