上川町だから多様な働き方が実現する!?
2019.7.3 UP
「KAMIKAWORK(カミカワーク)」プロジェクトで、去る6月2日と3日に「KAMIKAWORK cafe(カミカワーク・カフェ)」を札幌市内で開催しました。各分野で活躍する異業種の有識者たちが登場し、大盛況のうちに幕を閉じた1日目については、既にお伝えした通り。今回は、さらに盛り上がりを見せた2日目の模様をお届けします。
2日目は木工ワークショップから始動
まずは「KAMIKAWORK(カミカワーク)」について、おさらいをしておきましょう。カミカワークとは、上川町の魅力を掘り起こし、新たな働き方やビジネスのあり方を共に創造していこうという、上川町が手掛けるプロジェクトです。そのプロジェクトを支えているのが、地域おこし協力隊の「カミカワークプロデューサー」であり、プロジェクト公認の「プロフェッショナルサポーター」なのです。
1日目はカミカワークプロデューサーの活動報告からスタートしたイベントですが、2日目はワークショップから始まりました。2016年より上川町に活動拠点を移した彫刻家、紺野龍太さんが講師を務めます。茨城県出身の紺野さんはログハウス建築を学びに訪れたカナダで先住民の彫刻家と出会い、以来、カナダ先住民に伝わる面を彫るようになったといいます。
この日用意されていたのは、木工ワークショップ「木製スプーンづくり」。テーブルには3つの種類の木のスプーンが並べられ、楽しそうな予感に満ちあふれています。参加者は、形の異なるスプーンの中から好きなものを選択し、やすりがけをしてオリジナルの形を整えていきます。作業の合間には紺野さんの上川町での暮らしや創作活動について会話も楽しみながら、最後はクルミの油を塗って完成! この世にひとつだけの、手づくりのスプーンが出来上がり、ほのぼのとした空気が広がりました。
ワークショップも終わり、17時半からは、トークセッションを開催。トークメンバーは経歴も年齢も職種もさまざま。各々がこれまでに培ってきた経験と知見を生かし、上川町での就業・起業を含めた「新しい働き方」の可能性について語り合いました。トークセッション1組目に登場したのは、この日MCも務めた「枻出版社」コンテンツプロデューサーの北原淳さんと、「株式会社スノーピーク地方創生コンサルティング」専務取締役の西野将さん、「一般社団法人北海道体験観光推進協議会」専務理事の伊藤義廣さん。
大自然を誇る上川町の観光のあり方などについて、さまざまなイベントやアウトドアに携わってきた経験を踏まえ、それぞれの立場から意見を述べられているのが印象的でした。3人の話によれば「上川町のように山の麓に温泉があり、山登りから帰ってきた人がすぐに温泉でリラックスできるような環境は世界的に見てもあまりない」のだとか。国内外から北海道に訪れる人々に対して、上川町の魅力をいかに発信していくかということも、今後の大きな課題なのかもしれません。
トークセッション2組目は、再び登場した彫刻家の紺野龍太さん、上川町役場産業経済課に務める松原航平さん、そしてカミカワークプロデューサーの4人も加わります。
カミカワークプロデューサーの絹張龍平さんと育美さんご夫婦は、ご自身たちの移住体験を踏まえ、上川町を選んだ理由に「子育てしやすい環境が整っていたこと」などを挙げられていました。紺野さんと松原さんは、それぞれにアーティストと公務員という一見遠く離れたような立場でありながら、上川町を盛り上げていきたいという思いは同じ。新鮮なコラボレーションから繰り広げられる熱いトークに、お客さんも興味津々で惹きつけられます。
窓から見える外の景色も真っ暗になった19時半、2日間にわたって開催されたイベントの最後を飾るトークセッションが始まりました。「チームラボキッズ」のカタリストを務める遠藤香さん、「ココホレジャパン株式会社」代表で元TURNS副編集長のアサイアサミさん、コミュニティメディア「NEXTWEEKEND」代表でライフスタイルプロデューサーの村上萌さんが登場すると、会場は一気に華やかな雰囲気に。
アサイさんは2012年に家族で岡山県瀬戸内市へ移住した経験について、村上さんは北海道への移住経験についてがそれぞれ話題に。また、アサイさんは雑誌「TURNS」、村上さんは「NEXTWEEKEND」で、それぞれ上川町での取材経験も。共通して地方移住および上川町を知る二人が、自身の移住経験や上川町での体験を通じて、地方で働くことの可能性や上川町の魅力について存分に語ってくれました。
さらに、遠藤香さんの所属するチームラボが進める教育プログラムが、7月から上川町でも体験できるようになることが紹介されていました。それが「大雪かみかわ ヌクモ」の「あそぶ! 天才プログラミング」です。今注目のチームラボが手掛けるデジタルアートが、いよいよ上川町で体験できるようになるのです。遠藤さん自身もオープンがとても楽しみと語っていました。
2日間にわたって開催されたイベントは、上川町の人々の情熱と参加者の情熱がぶつかり合い、まさに大盛況のうちに幕を閉じました。イベント終了後、1日目のトークセッションに登場した上川町の佐藤芳治町長を取材しました。
これからの上川町について、佐藤町長の思いとは
「上川町にも新しい動きが出てくる中、これをどう発展させていくか、今はまだ暗中模索の状態です。しかし、周りからこれまでにない大きな反響を得ているのも確か。点が線となり、面となっていくのでは・・・と、今は大きな可能性を感じているところです」(佐藤芳治町長)
------その可能性を実現させるには、どんなことが必要なのでしょう?
「従来の取り組みだけじゃダメでしょうね。でもプロジェクトによって新しい人とつながることで、彼らから気づかされることも多いんです。町の職員の意識も変わってきて、いい意味での連動も生まれてきました。また、それによって町のイメージも見えつつあるので、近い将来、大きな成果が生まれるのではないかと期待しています」(佐藤芳治町長)
そう語ってくれた町長の表情は明るく、声は力強く響いてきました。今の上川町がとてもいい方向へと飛躍しつつあることを予感させます。今回のイベントが、何よりそれを象徴しているようでもありました。