この町ならではの文化を深堀りして伝える。
- −本格的な山好きではなく、カジュアルな人も自然を楽しめるイベント、という視点で働く人間を増やしたり、事業化するアイデアがあればお願いします。

- 北原:昨日と今日にかけて上川町で開催された「DAISETSU-SNOW-GLAMPING」のコンテンツだったアイヌ舞踊のパフォーマンスに若い女性がすごい興味を持っていて。それはアイヌ衣装のデザインや、アイヌ語の意味を知りたいという意見だったんです。
- −なるほど。

- 北原:文化や背景を深く知りたかったという言葉がとても多くて驚きました。その視点で言うと、この町ならではの文化を深堀りして表現する作業・メニューを作ることが必要だと感じましたね。
地域資源×町の支援で冬の課題を打破せよ。
- −上川町の課題は、冬に仕事が見つからないということ。冬の期間のビジネスアイデアや、その後の定住促進につながる事例はありますか?

- 伊藤:いい事例としては北海道鹿追町のしかりべつ湖コタンですね。上川町と同じく冬場の職が問題になった時、町の支援を活用してスウェーデンのユッカスヤルビという村にあるアイスホテルを参考にイグルー(圧雪ブロックを使った雪のシェルター)を作ったんです。
- −とてもフォトジェニックな場所ですよね。いろいろな雑誌でも紹介されていました。

- 伊藤:そして夏場に働きに来ていた若いガイドの住居や給料などのサポートを町が整えて、彼らに冬の期間にも来てもらっていたら、3~4人だったガイドが15人まで増えた。つまり、地域資源から職を生み出すアイデアも必要ですが、定住してもらうための町の支援をしっかり構築することも必要だということですね。
そのポテンシャルが、上川町に来る価値に。
- −来年度の夏や冬に向けて、動き出しているプロジェクトやアイデアはありますか?
- 上川町役場:廃校を利用して「チームラボ」の教育プログラム体験やカフェを楽しめる施設ができるのがひとつ。それと町内のキャンプ場を順次リニューアルして、交流人口を増やすためのキャンプ場を新しく作ろうとしています。

- 伊藤:キャンプ場も、例えば「おやじだけのキャンプで大雪酒造の酒蔵の酒を飲み干そう」とか。上川町らしいテーマを決めてやるのが大切だと思います。

- 北原:それを担うのがアウトドアプロデューサーですね。

- 塚原:あとは、上川町の名物のニジマスを釣ってきて焼いて食べられるとか。ここでしかできないことを提供できたら上川町に来る価値になりますよね。上川大雪酒造では、敷地内に屋根付きのテラスを作りました。そこに地元の名産の豚肉や朝採れの野菜を並べて、その場で焼いて食べてもらいたいと思ったからです。
- −それはおもしろいですね。

- 塚原:そうしたら観光客だけじゃなくて町民のにぎわいも生まれるかと。「あそこでおもしろいことをしてるよ」と周りから言われるようになるのが大切ですよね。